『AKIBA’S TRIP THE ANIMATION』(全13話)

最近のアニメは好感が持てない物が殆どでした。本作の第一印象は正しくそれに該当していましたね。
ですが、話数が進むにつれ、それは私の偏見に過ぎないことを確信しました。私の大きなミスでした。
ある大手無料動画サイトで偶然見かけて、時間つぶしの積りで途中の話数から始めてみてのですが、意に反してこれが実に面白かったのです。
キャラクター達の作画の関しては現在でも素直には好感が持てないでいるのですが、実に生き生きとして躍動感が溢れています。
特に舞台となっているのが現実に存在している秋葉原(作中では単にアキバと呼ばれることが多い)の街、残念ながら未だに訪れる機会には恵まれていないので、私の住む地方にある同様の電気街をイメージに重ねて見ているのですが、細かい所の設定まで行き届いていて、さすがだな、と思わされてしましました。
自分の家から一歩も出ないで、現実のアキバを訪れている感じがしました。
主人公の青年はいわゆるヘタレなオタク(常に前向きでどのような事柄でも理解し、こなす能力は備わっている)なのですが、ある事情によってもう一人の主人公である謎の少女から、瀕死の状態から生命を助けられることにより常人では考えられない特殊能力を授けられます。
ですがその見返りとして彼は普通の人間ではなくなり、アキバに封印されてしまいます。
自分が好むか否かという事無く怪物のアキバ侵攻に対する少女(彼女も本当は人間ではありません)が率いる自警団に加わって活躍するストーリー展開です。
元々はゲームが原作で、そのコンセプトが「脱衣」というものですから、本作にも当然それは反映されています。登場する怪物達は脱がされることでその能力を失い、下級種は人間に戻る(憑依されていただけ)のですが、上級種(青年もそれに該当します)や彼女の一族のような能力者達はガスが拡散されるように消滅し、それは死を意味します。
これからは常に怪物達から狙われ続け、自分の限られた生命を悟った青年は、残された時間を精一杯に生きることを決意し、自警団と生活のためのアルバイト、それに趣味の道を突き進んで行きます。
その趣味というのがまた凄い。アイドルの追っかけに始まり、フィギュア、コンピュータ、オーディオ、無線、ミリタリー、格闘ゲーム、カードゲーム、はたまた半ば騙される形で居酒屋で始めたバイト(いわゆる黒企業的)でさえも人生を楽しむ要素としてしまう(後に騙されたと気づきはしますが)のですから大したものです。心の赴くままに生きる、本能中心の単細胞的人物ですが、彼の魅力でもありますね。
主人公の少女ですが、最初はその暴力的な言動から好感が持てないですが、自分が愛するアキバを一族の侵攻から孤軍奮闘していた姿には感激さえしました。
彼女の一族はある理由から数百年前からこの地を守っていた血の一族なのですが、現在のアキバが汚い人間の欲望に満ちてしまったことに絶望し、街の浄化を企んでいたのです。
彼女も最初はそれに同意していたのですが、いつしか街とそこを訪れる人達の姿を見て心動かされて人間側の味方となった過去が有りました。そう。彼女は一族側から見れば裏切り者なのです。
孤独な戦いを続けて来たけれど、青年や他の協力者達も現れて、彼女は仲間を増やして行きました。
もう一人の重要人物、一見ただのバカにしか見えない外人のコスプレ娘(実は超頭脳の持ち主)は驚異的な身体能力によって度々仲間達の危機を救います。さらに見た目は子供に過ぎないけれど万能の女性科学者、それに青年の妹も加わり、青年はその中の黒一点として奮戦します。とにかくパワフルな内容ですので、見ていて飽きるということは無かったですね。
お約束のお色気シーンは過熱気味ですが、特にどぎついというレベルでは無いでしょう。
まあ、前述の通り、脱衣をテーマにしているのですから無理もありませんが。地上波での放映を意識していないからこその内容とも言えるでしょう。
個人的には無線を扱った話とアキバグルメの話がお気に入りです。
前者は電気街から発したアキバの街の特性を活かした内容とも言えます。
後者は現在のアキバが反面グルメの街であることも私に教えてくれました。ですが。
少女の異常なまでの食欲(これには彼女を襲った過去の悲しい出来事にも理由があるのですが)には辟易しました。
とても求婚してくれる相手が現れるとは思えないほどの大食漢です。
青年も体格に比してみてば大食いと言えるでしょうが、劇中のようなデート(本人達は嘘あるいは仮のデートと言い切っています)が続いた日には間違いなく破産が待っているだけですが。
最後になりますが、この作品は角度を変えてみるとアメリカンテイストも満載されていることに気が付きました。
怪物達のキャラクターも作画も、それが加味されていました(そう感じるのは私だけでしょうか)。
ともかくこれまでの日本のアニメには無かった嗜好の作品ではないことは断言します。
機会が有ればどうか御鑑賞下さい。